実践しています。

up and ups just fine

実践的MAFテストのポイント

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知人からMAFテストについて質問をいくつか受けたので、これまで自分が運用してきたなかでの手順や注意点を共有したいと思います。これは正規の方法という意味ではなく、あくまで僕自身が実践してきたなかで、運用に効果的だった方法であることをご理解ください。同じようにMAFトレーニングを実践しているランナーのお役に立つなら何よりです。

 

そもそも、なぜMAFテストが必要なのか。僕にとっては習熟度の確認と、トレーニングの動機づけです。基本的にMAFはずっと同じペースで走る。そのペースはエアロビックペースなので追い込んだ時のような達成感を味わうことはない。言わば、走っている最中は限りなく平坦なので、数値として習熟度を確認することで成長の実感を得ることはモチベーション維持に機能します。また、間隔を決めて定期的にテストをすることで、ペースは平坦ながらスケジュールにはメリハリがでます。数値で手応えを得ることができれば、MAFは活きたトレーニングになるはずです。

 

まず、テストの目的はいいタイムを出すことではなく、習熟度を理解するためです。あくまで本番はレースなので、いくらMAFテストの結果が良くても、本番で同じペースを刻めなければ意味がありません。つまり、前提として設定心拍の上限ギリギリを狙うものの、オーバーペースが続いては計測にならない。とは言え、心拍という変動のある数値をものさしにしているが故の難しさもあります。特に、最初のうちはMAFテストで一定の心拍を保つこと自体が難しいので、何度か試すくらいの心と時間の余裕を持つことが大切です。

 

心拍計の精度

MAFテストにおいて絶対に妥協することができないものがあります。それは心拍計の精度です。ここが不安定だとテスト自体無意味化してしまいます。どのメーカーがいいか、というのはここでは触れないけれど、運用上のポイントをいくつか挙げておきます。

接続の安定性

スタートと同時に心拍計が確実に接続されること。接続自体が遅れると結果の精度が下がります。

心拍数の安定性

接続はしたものの、表示される心拍数が正しくないことがあります。これも結果の精度が下がります。

反応速度

スピードに対して心拍数が安定するまでに若干の加減速をします。加減速に対して表示される心拍数のレスポンスも速いといいです。

 

 

② 前提条件を揃える

少なくとも、毎回のMAFテストは朝にするか午後なのか、時間を揃えた方が結果の信頼性は高まります。また事前に何キロ走るのかも、おおよそ統一した方が自分は安心します。時間という普遍的な数値と違って、心拍という変動しやすい数値を頼りにするので、テストの条件はできるだけ統一した方がいいと思います。デリケートな人なら靴も統一した方が悩みはすくないです。少なくとも、アルファフライを履いた次のテストにワラーチで走ると結果の要因が特定しづらくなります。

計測する場所も統一した方がいいです。400mトラックは距離が狂うことがないので確実ですが、近くにない場合は信号がなく、走り続けられる場所で一定距離を確保することをオススメします。

僕はMAFテストはトラックで3000mと決めています。なぜ3000mか、それは無駄なく平均値が出しやすいからです。どうしても最初の500〜1000mは心拍とペースが不安定です。2000mのテストだとこの不安定さが数値に影響します。5000mの方が平均値の精度は上がりますが、進捗確認のテストなのでそこまで時間をかける必要はないと思っています。テストは必ず行う、でもサクッと終わらせるくらいがちょうどいいです。

 

 

③ ペースの調整

いくらMAFテスト前にアップをしても、スタート位置についてから走り出すまでに心拍数はリフレッシュして、平常時に落ち着きます。スタートしてもすぐに狙った心拍まで上がる訳ではありません。少なくとも200mくらい、慣れていなければ400mくらいは心拍数とペースが一定になるまで走らなければいけません。初動の加速を統一することで、ある適度均一な条件をつくれます。

僕の場合、最初は設定心拍の値上限までもっていくためにペースをあげます。心拍がターゲットに入ったらペースを落として、心拍数とペースがシンクロするところ探ります。狙いにはまったら、あとは心拍数を優先してペースをコントロールします。それだけです。初動を統一するとテストそのものに一貫性がでるので、純粋に進捗状況・あるいはその日条件(体調・気温など)だけがわかります。

ちなみに暑くなるとペースが落ちる傾向にあります。でも大丈夫です。テストでいい点数をとることが目的ではないからです。気候も踏まえた条件の上で変化を捉えることは、必ずレース本番で役立ちます。

 

 

実践的なMAFテストの運用という意味で大事なのはこの3点くらいです。とにかく、一定期間トレーニングをしたらテストをして習熟度を計る、このルーティーンを維持することが一番大事です。これが機能している限り、MAFトレーニングへの信頼は揺らがないと感じています。数値は裏切らない。主観的な習熟度を、定量的に捉えることで、ブレずに進み続けられるはずです。トレーニングメニューが限られていること、裏をかえせば方法論で悩む必要がないということです。何ヶ月かやってみる、フィットすれば続けるし合わなければ辞める、それだけです。やっていることそのものを疑い始めると、効果を実感する前に右往左往します。そういう意味でマフェトン理論はメソッド化されているのでシンプルです。

以上、ここまでは運用方法のはなしです。

 

もうひとつ。日々のトレーニングをストレスなく続けるためのコツを共有します。心拍数を基準にペースをコントロールするので、一番は安定して確実な数値が確認できるツールが必須です。つまり、心拍計として高いレベルで機能しているかが、トレーニングの質と集中力に影響します。高精度スポーツウォッチであれば心拍数はあまり狂わないと思います。ただ、習熟度が増すと微妙な狂いが集中力を削ぎます。また、時計の精度以上に心拍ベルトの精度・あるいは耐久性が大きく影響します。

特に意気込んでMAFテストをしようと思ったら心拍計が反応しない、数値が乱れるなどするとテストになりません。「こんなことなら今日はテストしないで、トレーニングに充てればよかった!」って気持ちになります。せっかくトレーニングではなくテストをするために確保した時間が台無しになると、トレーニングスケジュールも狂います。

マフェトン理論は単純に時間を注ぐことで成果が上がるアプローチなので、シリアスなフェーズになると、一回のテストが機能しないだけでストレスフルです。このあたりの対策は集中してトレーニングを続けるために重要です。地味だけど大事です。心拍数の精度がボディブローのように効いてきます。

 

一番は日常用とMAFテスト用で心拍ベルトを使い分けることです。毎日使っているとベルトも消耗します。メーカーによっては消耗スピードは結構はやいです。少なくとも、MAFテストは正確に計測したいので、専用のベルトを用意するとかなりラクです。

このあたり、参考になるブログがあるのでご紹介しますね。

 

live-simply.hatenadiary.jp

 

地味なトレーニングですが継続すると効果は実感できるはずです。MAF実践者が増えて、MAFという基礎は共有しつつ、個々のオリジナルなアプローチを交換できる日がいつか来たら、このメソッド自体が加速度的に向上するはずです。