実践しています。

up and ups just fine

ひとつの結論がでた11月

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陣馬山からの雲海と満月

 

11月30日、早朝、あたりはまだ暗い。気温は5℃、ハーフタイツからロングタイツに履き替え、グローブも必須となった。身体が重く感じるのは最近の月曜日の傾向。つまり、土日を効果的に使えている証。月末、つまり定例の3000mTT、これは朝にやることを基本としている。朝と夜では心拍の動きが違うので、計測条件を統一することは大切。トラックまでは約5km、いつものルートをMAFペースで走り身体を温める、このルーティーンも統一している。タータントラックを踏んだ時、普段よりいくらか緊張していることに気づく。エアロビックペースで3000m走るだけなので、いわゆるタイムトライアルのような苦痛が襲うことはない。それでも生まれる緊張感はこの一ヶ月のアプローチと、結果が結びつくことを期待しているから。必ずしも、いいトレーニングが積めたわけではないが、まずまずの運動時間を確保することはできた。そして、MAFペースを引き上げることにフォーカスした一ヶ月だった。まだ薄暗く、都心の方角にはビル郡の屋上を示す赤いランプが灯っている。この季節の、この時間帯に漂う雰囲気が好きだ。定位置に着き、ストップウォッチを押して走り出す。

 

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↑ MAF3000mTT定点観測の結果はこちら

 

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↑ 4:15/kmペース 3000mTT定点観測の結果はこちら

 

結果はMAFペースが4:20/kmで、今年4月に記録した4:17/kmに次ぐセカンドベスト。4:15/kmペース走はPB更新となる142bpm。どちらも期待以上の結果となった。特に、狙っていたMAFペースについてはテスト中の心拍も終始安定していて、狙いと結果そして身体も噛み合った瞬間だった。記録としては4月をピークに9月に向かって下降線をたどって、ボトムから現在に向かって再び上向いている。季節の影響はあるものの、気持ちがいい程にトレーニングのアプローチと数値が呼応している、というのが本人の得た手応え。4:15/kmペースについて、今回のタイムトライアルではイーブンまた下降すると予測していたが、良い意味で期待を裏切ってくれた。これだけ突出したPB更新となると、当日のコンディションによる影響は十分にあるので、要観察という印象。

 

それでは、仮説に対するアプローチを振り返ろう。

tomoyayazaki.hatenablog.com

夏以降アプローチを見直してMAF走以外でも”速度”から”心拍数”基準にモノサシを統一したことは何度も綴っている。その転換から続く流れとしてたどり着いたのが9月の振り返りとしてまとめた記事「たしかな手応え」で挙げた仮説。

 

「特定の運動強度でパフォーマンスを上げるには、その強度の運動時間を増やすことが一番効果的なのではないか。」

 

つまり、自分のMAF設定値である145bpmのランニングエコノミーを向上させたいのなら、145bpmで走り続ければいい。155bpmでパフォーマンスを上げたいなら、155bpmで走り続ければいいい。それだけのこと。少なくとも、ベースとなる走力に伸びしろを感じる、陸上部出身ではない自分のようなエントリーランナーであれば、レペティションやインターバルなど最大出力値を押し上げるトレーニングをするよりも、頭打ちになるまで徹底的に特定のペース走だけしていることがランニングエコノミー改善には効果が大きい、そんな仮説だ。

エアロビックトレーニングから脂質優位の体質をつくることを目的としたマフェトン理論とは目的となる出口は異なるものの、心拍数を基準としたトレーニング管理、ランニングエコノミー改善のプロセス、ボリュームゾーンの捉え方については、マフェトン理論の”運動”的な部分を抽出したアプローチだと、自分自身では捉えている。

事実、8月からの実践が数値として確かに表れている。8月から9月の2ヶ月間は徹底して155bpmのみで走り続けた。真夏のランということで、ペースこそ上がりきらないものの、毎日中強度の負荷を繰り返すのは身体への負担はなかなかだった。走り終えた後、寝て起きた直後に感じる倦怠感と、怪我の心配をしながら上手くこなせたと思う。結果的にフィジカルのタフネスは向上したように感じる。月末の定点観測では4:15/kmペースが7月時点で159bpmだったところ、9月末のテストでは149bpmと10ポイント改善されている。練習の効果がキレイに数値として確認することができた。期待していたMAFテスト(145bpm)は9月末で4:30/kmと、7月時点と変わらない結果になったことも、練習の効果を裏付けるものとなった。

10月からは155bpmをメインにしながらも、145bpmペースでのロング走を取り入れるようにした。本来、MAFの数値改善が狙いだから、仮説と結果を紐付ける意図が大きい。結果はMAFテストで5秒短縮となる4:25/km。行方が気になる4:15/kmテストでは9月から1ポイント改善という程度で、相関関係がみえてきたと言える結果に落ち着いた。

そして11月を締めくくるテストでは先に挙げた通りの結果。MAFペースが大幅に改善された。

 

 

11月のテーマはこの三点

1. MAFペース中心のトレーニン

2. 距離への耐性

3. 週末のBtoB

 

1. MAFペース中心のトレーニン

ここ3ヶ月の検証結果から、また時期的にも当然MAFペースを改善させることに集中することにした。つまり、155bpmペースでのランニングはほどほどに、練習の大半を145bpmに費やすことにした。ただし、MAF初期のように回数を増やすことは意識せず、一回で走る距離を最低でも20km、普通を30kmとしてコアタイムを長くとることに専念した。何度か繰り返しているうちに、平日の仕事前に30km走っても疲れにくくなった。MAF初期であれば1回の運動時間を短くして、回数を増やすことを重視するが、実践を意識している現在は本番で意味があることを、練習と両立させることが大切だと思っている。検証と演習どちらも抑えるにはこの練習が一番だろう。ちなみに、30km走ったからといってポイント練習という意味ではなく、ノーマルでこれだけ走ることが、今の自分には大切なこと。

 

2. 距離への耐性

先のトレーニングにも関連するが、本番で160km走ることから逆算すると、そろそろ距離への耐性は日常のなかで養う時期である。感覚的に、30km走ることは朝飯前だが、40kmを超えると長く感じ始める。MAFペースであれば40kmの負荷はそうでもないが、心理的なハードルを下げていくことを意識した11月。10月時点では30km走ることでそれなりに疲れていたので、11月は肉体的な耐性を獲得したと言えるし、肉体が耐えられれば回数を増やすことで心理的な免疫を獲得できる。こうやって距離への耐性を醸成することで、次のハードな練習に挑むための閾値を更新していく作業が好きだ。ちなみに、トレイルではOut and Backをはじめて以来、50kmは比較的短く、80km走るときには壁を感じている。

 

3. 週末のBtoB

MAFペースであれば30km走っても、あるいは3時間走でも日常となった今、週末のBack to Backでコンビネーション的に付加を与えることがポイント練習になってきた。相変わらず頻繁にトレイルには行けないので、基本的には両日ロードを走っている。やっていることは土曜日に変化走を30〜35kmと、日曜日には3時間走。変化層は山の起伏にあらわれる心拍の変動を意識して、MAFペースと4:00/kmを交互に繰り返している。特に、4:00/kmで走ったあとにMAFペースで心拍を安定させられるかを注視している。例えば、ハーフマラソンのペース走をするよりも距離を伸ばすことができるので、気に入っている練習だ。最初の20kmはそれほどキツくはないが、後半になると速いペースに切り替える時にギアを上げる瞬間はなかなかの負荷なので、走りきったあとの満足度(そして疲労度)は高い。日曜日の3時間走は重い身体でひたすらMAFペース走をする。実はこっちの方がハードだ。1時間ほど走って疲労が抜ける瞬間を迎えることができればラッキーだが、それがこなければ残り2時間ひたすら我慢比べ。距離ではなく、時間をもってトレーニングが終わるところも心理的にのしかかる。レースの後半を意識したトレーニングとして捉えている。

 

アクティビティごとの内訳は

・MAF - 9回 140km
・MAF+10 - 4回 69km
・変化走 - 4回 143km
・3時間走 - 2回 71km
・トレイル- 2回 53km

 

純粋なMAFにあたるのはMAFと3時間走で計211km。少し意図は異なる変化走を加えると354kmと大半の時間をMAFペースに費やしたことになる11月。きちんと月末のテストで数値改善に結びついてるのが嬉しい。数値だけでなく、ロング走をしても心拍ドリフトがないことは前にも触れたが、走り始めとトレーニング終盤を比較しても極端にペースが落ちないことはさらに実践的に仕上がっていると言える。

12月はトレイルに行く頻度を増やすこと、トレイルの中で安定して動き続ける身体を獲得することを意識する。レースへの特異性はもう少し先に取り組むとして、”トレイルランニング”全般で必要な基礎運動能力をあげることが2020年最終月のテーマ。