実践しています。

up and ups just fine

実践で理解したHIITの効果

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レーニングメニューにHIITを加えることでMAFの巡航ペースも劇的に改善されること期待して実践をはじめたのが去年の11月。800mのインターバルを10本、いわゆるヤッソ800というやつだ。これを週に一回取り入れた。

HIIT初月は4:00/kmからはじめて、Week1は5本で終える。Week2は頑張って10本できるようになり。Week3〜4で身体に馴染ませていく過程はHIITでも同じこと。

実際、初月から相当にキツかったことは今でも覚えているし、月単位で10秒ペースを上げていくので負荷が上がる月初は今でもかわらず覚悟を決めて走り始めている。

 

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負荷を上げて、馴染ませる。馴染んだらまた負荷を上げる。これをかれこれ5ヶ月続けてきた。結果から言うと、HIITがMAFの巡航ペース改善につながらない、というのが今現在の答えだ。高負荷をかけて上限をあげることですべての運動強度が釣り上がる訳ではない。これが、少なくとも短期的にメニューを絞ってモニタリングしてきた末の肌感覚だ。

特定の運動強度を鍛えるには、その運動強度にどれだけ練習時間をつぎ込むかがランニングエコノミー向上につながる。それがすべてだと感じた。

 

 

ではHIITが無駄だったのかと言うとそうではない。まったくもって無駄ではなく、思わぬところで効果を実感した。今日はその話です。

HIITがMAFへの効果が期待できないと感じながらもここまで続けてきた。その理由のひとつは前回の記事でも書いた通り、検証することが走る目的でもあるのでHIITを辞めるという選択肢はなかったこと。もうひとつは週単位で身体が感じる適応と、月単位で負荷の上限値があがってはクリアしていく瞬間に達成感があったからだ。

とは言え、いずれは頭打ちになる記録の更新(実際、3:20/kmで停滞している)と、根本的な狙いであるMAFの改善に効果がないという実感はトレーニングメニューとして行き詰まっていたことも事実である。それもあって3月は一旦MAF改善というメインテーマから離れることにした訳だ。

 

そう言えば去年の11月末にこんな記事を書いたことを最近になってよく思い出す。

信越五岳がおわって、自信満々でさくっとフルマラソンを2:50で走りきってやるぜ、と息巻いていた時期だ。この頃はフルマラソンが早くなることがそのままMAFのベースアップにもつながると思っていた。

実際にやってみると思うように身体が動かない。1000mを3:30/kmで走れると思っていたら全然できなかった。少しずつ観察していくと、MAFとマラソンペースではフォームが違うことに気づいたり、ウルトラトレイルとフルマラソンでは鍛える能力が違うことを理解しはじめた。

それもあって練習の効果を検証するためにHIITはヤッソ800に絞ることにしたわけだ。

 

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これを感じる決定的な一日のこともはっきりと覚えている。ある平日の夜、仕事が終わっていつものように帰宅ランをする。その日は次の挑戦をするために、手始めにサブ3ペースで走ることにした。つまり4:15/kmであって、MAFペースよりたかだか15秒速いだけだ。正直余裕だと思っていた。もう一回言うけど、たかだか15秒速いだけだから。

実際走り始めるとすぐに息が上がる。鼓動が限界域に近づくと、今度は足に力が入らなくなってきた。脱力感と、そして指先も少し痺れてきて、これは完全にゲームオーバーだと認めて、そこから先はジョグよりも遅いペースでなんとか走って帰った。

 

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苦い思い出 in my head

 

思い出話が長くなってきたので本題に。

同じコースで同じ距離、帰宅ランなので荷物があるという同じ条件で、今は余裕で4:15/kmペースで走れている。しかも、このペースで週に3〜4回走っても途中でギブアップすることはない。明らかに、5ヶ月前の自分とは別である。

過去、一番強い自分はどこにいるかと振り返れば2019年8〜9月だ。では一番速い自分はいつかと言えば、自信をもって今だと言える。

ここに、5ヶ月間積み上げてきたHIITの効果をようやく実感することができた。

MAFの数値改善は見られなくとも、確実にVo2Maxが向上していることはインターバルのたびに体感していた。そして、その効果は心拍数というものさしを取っ払った世界での巡航ペースアップを大きく引き上げてくれた。

3:30/kmというペースとは言え、たかだか800m刻みに10回走るだけだ。それでも、このペースに適応できるようになるまでに、腰の位置は高くなり、ストライドは広がってダイナミックなフォームに変化していった。心臓を締め付けるようなペースや、乳酸が溜まって力が抜けていくような時間感覚にも慣れて、負荷そのものに対する抗体を獲得した。

結果、ペースアップした帰宅ランを今のところ続けることができている。

まさか、HIITがここにつながるとは思いもよらなかった。いや、高負荷からはじめて距離を伸ばしていくというアプローチは教科書通りのセオリーだけれど、実践のなかで同じ結果に行き着くことは、文字情報以上に価値がある。

つまり、HIITは現在に効果を得るためのトレーニングではなく、未来のための投資に近い役割であり、基礎固めであった。

この腹落ちは次の疑問を生む。3月に実践したマラソン〜LTペースでのトレーニングを中心にした場合、MAFペースそのものからは離れてしまう。それを引き換えにしても、このペースは次にどんな世界を見せてくれるのか、ということ。

4月もこの方向で迷うことなう走ることに決心がついた。