実践しています。

up and ups just fine

登山道の整備をして学んだこと。

STS仲間のくっちーさんが台風19号直後に八ヶ岳櫛形山のコースチェックに行って、その様子をBlogでシェアしてくれた。

 

mountain-ma.com

 

 

山梨まで来る途中、高尾や丹沢、大月あたりの方が、
道路も土だらけでダメージが大きいように見えました。
正直、トレイルランニングや登山をしている場合ではないと、本当に思いました。
この状況では、行政や地元の山岳会などの方による整備を待つと、2、3年はかかると思います。
つまり、トレイルランナーが山で遊べる場所が、しばらく無くなってしまうということです。 

 

ここに書かれているように、「トレイルランニングをしている場合じゃない」ということは、オーバーな表現じゃなく、各所から発信される情報・写真を見る限り誰しもすぐに理解する程、規格外な被害と範囲だった。

特に、自分にとって身近な高尾と、そして相模湖あたりの被害状況を聞くと胸が痛くなった。夏場にたくさん遊ばせてもらったトレイルだし、これからも通いたい特別な場所だけに、アクティビティのための山はちょっとお休みして、これからのためにできることからはじめたいと思った。

 

被害のあった登山道は復旧させなきゃそのままである。

こういう時にすぐに動くのがスリーピークス八ヶ岳

大会がひらかれる八ヶ岳。この山域、そしてこの大会も自分にとって特別で、思い入れが強い。

こんな時だからお役に立ちたいという気持ちと、トレイルの復旧をするためには何が必要で、自分に何ができるのか学ぶためにも、大会のコースでもある八ヶ岳横断歩道の倒木撤去作業に行ってきた。

 

trail38.com

 

この日は大会のスタート・ゴール地点である三分一湧水館に集合して、そこから車で天女三駐車場に向かう。そこから大会のAID2となる天ノ河原をスタートして八ヶ岳横断歩道のつばめ岩あたりまでを整備した。

もう何度も撤去作業を既にしたとのことで、想像していたほど荒れてはいなく、作業序盤はトレイルに落ちている小枝を拾ったり、細い倒木をのこぎりで解体して自然に還りやすいようにしながら前進した。

ただ、松井さんや他の参加者に話を聞いていると、これまでの作業で相当数の倒木を撤去して、今回は後半にラスボスが控えているとのこと。くっちーさんはじめ、今日は3人がマイチェンソーを持参しているので、大物を集中して撤去する日のようだ。

 

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倒木をチェンソーで解体する。

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細かく解体してトレイル脇によける。

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水分を含んでる生きた木なので解体も楽じゃない!

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これですっきり!今まで通りに歩けます!


そもそも、なんで倒木がそのままじゃいけないのか?これが自然の在るべき姿なんじゃないのか?倒れてる木があれば跨げばいいじゃない?と思っていた。


手付かずの自然であればそれが在るべき姿なのかもしれない。でもここは人為的に作った登山道。今日ここを通る分には跨げば済むかもしれない。ただ、これから冬を迎えて雪が降って、積もる。倒木の上に積もった雪はいずれ重くなり、いつか登山道を巻き込んで崩落する恐れがある。そうすると春には通れるはずだった道が通行止めになってしまう。だから誰かが手入れをしなきゃいけない。

 

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切りたては断面も活き活きしている。

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切られてどれくら経った断面なんだろう?

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台風19号の被害がいたるところに!


じゃあ誰が手入れするのか?顔の見えない人の善意で成り立ってるのか?

地域によってはそうかもしれない。個人が所有する山であれば勝手に手入れしてるだろう。ただ、そこが国有林の場合、国立公園の場合、県の管轄の場合、法律や規則によって管理されている。管理団体がいるかもしれない。

つまり僕がお世話になったお気に入りのトレイルを整備したいと思っても、今回の台風で倒木が道を塞いでいようと、チェンソーを買って善意のもとに勝手に倒木を解体しちゃいけないわけだ。(そりゃそうだ!)

スリーピークスは有志の集まりだけれど、積み重ねてきた信頼と実績があって、今回ここまで動くことができている。

実際に身体を動かして撤去する。経験者から話をきくことで知ることはホントに多くある。それを踏まえて、改めて自分ができることって何なんだろう?

 

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チェンソー3台使っても1時間近くかかった。

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これがラスボス!大きい上に枝分かれして形状が複雑!

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根本から倒れている。

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安全を確保しながらゆっくりと解体する。それでも危険を感じる作業。

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倒れる方向を予測しながら順番に解体する。この1本がどれだけ大変なことか!

 

トレイルランナーのみんな!普段走らせて貰っている山のために何かしようぜ!って掛け声をするのはどうも気が引ける。やりたくても忙しい人もいるし、都合がつかないこともあるから、有志は時に正義を振りかざすことになる。でももしトレーニングを一日休んで、どこかの団体と一緒に作業に充てられる日があるなら、是非ともオススメしたいと思う。それは今回参加してみて学びが多かったからだ。

 

山がどうやって管理されているのか、ある一面を知ることができた。そこから見えてくるリアルな課題を垣間見ることができた。

生態系のごく一部を、身体を動かして知り得ることができた。

生身の木は思っていたよりも遥かに重い。あれが倒れてきたら恐ろしいことを肌身をもって感じだ。いくらチェンソーがあったって1本解体するのも一苦労だった。

例えば、最後の写真のような根本から倒れた木でも、ちゃんと解体すると重さは根本がまさって、切った木が立ち上がる瞬間を見た時の感動たるや、そこにいた人にしかわからない。

何より、身体を動かして、愛着がある土地を手入れした充足感は何物にも代えがたい。あぁ、やっぱり自分は山梨が好きなんだなぁと改めて感じた。むかし一緒にこのコースを走ったことを思い出したり、一緒に走ったあの人元気かなぁと気になったり、それだけでもいい時間だった。

参加したことで得られることは本当に多かった!

 

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手作りシナモンロールもトレイルデビュー!

 

高尾山頂までの登山道はおおよそ回復してきていると聞く。

でも未だに南高尾は一部通行止め。夏に何度もおかわりした日影沢林道も崩落のため通行止め。明王峠から相模湖に続くトレイルや、栃谷尾根、奈良子、小原宿については情報さえキャッチできない。きっと大変なことだろう。

そして、行政としての優先順位も高くはないはずだ。

この辺はやみくもに行動するんじゃなく情報を精査しながら、今まで通りに遊べるように回復にむけて僕も実践したいと思います。