実践しています。

up and ups just fine

信越五岳2019 - 準備・本番・今後の総括 -

ブログテーマが「実践しています」なんです。

つまり、仮説をたてて実践したことに対して、結果がどうだったのか、どこを改善すればもっと速く・強くなって、モテるのか、振り返って次の実践につなげることに意味がある。

喜びも、悔しさも、興奮も、すべてはゴールの一瞬に凝縮されるけど、それは実践があってこそで、そこまでのプロセスが血肉になることを改めて実感した。

そして、今回の実践が、偶然ここにたどり着いた誰かの参考になれば何よりです。

 

 

 

1. 準備

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目標設定

自分が過去にでたレースの平均リザルトと、去年走った選手の順位を参考に、頑張って手が届くかもしれない上限の目標設定として23時間をPLAN Aに設定した。

結果は21:17で自分が想像もしないような遙か速い時間でゴールができた。

レーニングがコースプロファイルうまくはまったの一言に尽きるが、何故このタイムになったのかは整理ができていない。そりゃ、初めての100マイルだから自分の中の比較がないので当然かもしれない。

ただ、ビギナーズラックかと言えばそうじゃなく、同じ条件であれば再現することはできる手応えがある。21時間は切れると思う。

 

準備のすべて

数字の目標は23時間以内のゴール。つまり区間順位や瞬間的な競り合いなどどうでもよく、ゴールした瞬間のタイムだけを考えた。

準備には「トレーニング」「レース戦略」「装備」の3点が「70 : 20% : 10%」のウェイトで結果に影響を与えると想像していた。実際、走ってみると晴天時の信越に関しては「60% : 35 : 5%」くらいの体感。それくらいレース戦略が大事。ちなみに補給に関しては、FAPのように時間をかけて体質改善するものは「トレーニング」に括って、レース中の補給については「戦略」としている。

 

レーニン

極端に言うならロードのペース走をしっかり、サボらず練習すれば絶対に完走できる。例えアベレージのペースが遅くても、最後まで一定のペースで走り(動き)続けられる方がタイムに直結する。さらに言えば、走れるセクションを増やしていく方がスピードを上げるより効果的。次回に向けてはマフェトン+5%程度の傾斜で走り込みをした方が強くなれる。

信越に関しては「トレイル練 ≠ 走力アップ」で、ナイトラン・行動時間へのアジャストメントと考えた方がいい。あと補給の実践テストとしても意味が大きい。

大きな登りはチャンピオンゲレンデと瑪瑙山くらい。上位選手でも走らないので、この区間に向けて練習しても差は出にくい。それと次回も下りの練習はしなくていいが、大腿四頭筋の耐久性をつけた方が下ったあとの走れる区間で差をつけられるはず。セオリー化するなら、レースの季節、レースのコアタイム(日中or夜間)、コースの特徴を捉えて、どこを突くと効果が大きいか考えて練習プランを考えることはすごく大事。

そしてフラットの走力が何より大事という原理主義にたいがいいくつくはず。

数値化はできてないがMAFとFAPで得た脂質代謝は強い。エネルギーが切れる不安がないことが、走り続ける上でどれだけ安心感と自信を与えてくれるか。この感覚、言語化が難しく、実践した人にしかわからないベネフィットである。

FAPに関して是非はあるけど、効果は大きいし、次にまたウルトラを走るならレースの3ヶ月前からやる。トレーニング期間中、走る時間は1日にせいぜい2時間。残りの22時間をどう効率的に使うか考えると、食事や睡眠を有効活用するのは当然。FAP以外のメソッドがあれば試したい。

 

レース戦略

この言葉ひとつの中に「レースを想定したトレーニングプラン」から「ギア選定」「補給」「本番のペースコントロール」などなど、レースを意識した瞬間からの段取り全部が含まれる。ここはもっと磨きたい。そして自分自身へのポテンシャルを一番感じる。

正直、走ってみないとわからない。ってことが極論になる。今回は予想に反していい方向に転がったけど、トラブルが起こる可能性の方が実際は高いと思う。どこで、どんなトラブルが起こるのか想定するのは大事だと身を持って知った。TOMOさんが言う、100マイルは「経験が7割、パフォーマンスの効率化と身体づくりが3割」はコンスタントに結果を出す上では間違いないと思う。その点、自分はようやくひとつめのセオリーができた。ここからもっと構築したい。

レースそのものの戦略に関しては、これもTOMOさんの言う「70マイルは賢く走れ、ラスト30マイルは気持ちで走れ」を意識して、実際、黒姫(102km地点)で疲労度50%というところだった。今後に向けては前半をもっと楽に走って、疲労度30%で到着できるように耐久性をつけたい。

信越のコースに関して言えば、確実に後半走れたほうがタイムに直結する。夜間は安全第一で飛ばさないこと。朝方の補給は眠気に気をつけること。その上でいかに黒姫から勝負するかが大事。逆に、序盤から攻めるのは上級者でかつ経験者じゃないとリスクがある。「自分のコンフォートゾーンがどこなのか」これを知っているとウルトラは強いと実感した。

前半は補給は30分ごとに炎熱サプリを1粒、1時間ごとにジェル、3時間ごとにベスパを摂った。序盤のトラブルで6時間ほどでルーティーンが乱れた。100km以降はジェルを30分に1本に増やした。ジェルの補給は諸刃の剣にもなり得るので、もっと経験を積みたいところ。

 

装備

ギアのプライオリティは間違いなく「シューズ」が一番高い。

普段はSalomonだが、ロード区間疲労を溜めないことを優先して、今回初めてHOKA ONE ONEのスピードゴート2をはいた。これが吉とでた。テクニカルな登りと下りには弱いけど、走れるセクションや林道の下りに対してはアドバンテージを感じた。国内のウルトラだったらファーストチョイスになる可能性大。

信越は荷物が少なくて済むので、ザックは極力小さく、中身が揺れづらいARC'TERYXのNORVAN7を選んだ。微妙なサイズ調整をするためのギミックに優れいているけど、もう少しアクセスしやすい位置にポケットが配置されていたらストレスがないなぁ。

ライトは今回もSILVAのトレイルランナー3を使った。とにかく軽くてシンプルな作りは最高なんだけど、明るさと照射時間はかなり難があったので、今回で卒業でしょうか。

安全性、走る上でのストレスを考えてもウルトラではライトの重要性は相当高いと感じた。練習の段階で迷いがあるギアは本番でも悩みのタネとなる。

信越に関して言えば、その他の装備の重要度はさほど高くない。これがUTMFであればレインウェアの透湿性や、ダウンの携帯性など、パフォーマンスに直結するギアがもっと増える。結果的にザックのサイズも吟味する必要がある。

 

 

マフェトン理論

前にもブログにまとめたが、マフェトン理論自体は脂質代謝を作っていくためのトレーニングメソッドであるが、実際に4ヶ月取り組んだ中で感じるベネフィットは主に4点。

①怪我なくトレーニングが継続できたこと

②結果的に走力をあげることができた

③ロード区間での安定性

④体感ベースでコンフォートゾーンがわかる

 正直、何がヒットしてあそこまで快適に走り続けられたか未だに言語化できないが、安定性と自分のペースを理解してることの強みは大きいと感じた。

マフェトン理論、イコールゆっくり走ることが一般的な認知な印象があるけど、大切なのは出力を一定にするトレーニングを続けること。ここがポイント。上限心拍に対するペースは年齢・個人差が大きいので、あまり気にしすぎる必要はないと、4ヶ月走りきった上ででた結論。

 

 

FAT ADAPTATION

効果を数値家するなら呼吸商のテストはマスト。お金と時間がかかるから自分はやらなかった。そのため、体感ベースでしか語れない。

FAPをはじめて1ヶ月して感じたのは、走っていてもエネルギーが枯渇する心配がなくなったこと。それと、日常でも眠気が減って気持ちも安定していることが増えた。レース中も同じで、一定の状態を保つことができたのはFAPの効果に思える。

 

 

テーパリング

これは上手く行かなかった。直前の2週間、バイクを取り入れたものの走った回数は週に2回ほど。レース序盤は身体が重く、レストに入るタイミングが早かった。2週間前は普段の60%がセオリーかもしれない。睡眠重視にするのは最後の1週間でいいと思う。

それと、直前のサウナは脱水のリスクがあるように感じた。サウナ自体はテーパリング期に絶対行くべき。

 

 

2. 本番

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出走前にどれだけ疲労を溜めないか。これは相当に重要。絶対に前日入りしてよく寝ること。レース直前まで日を浴びずに、できれば横になって身体を休めるべき。この時間の過ごし方ひとつで、準備してきたこと全てが無駄になってしまう可能性もある。

他に、「爪を切る」「歯を磨く」「シャワーを浴びる」「荷物の最終チェック」などチェックリストを用意しておくと慌てることがない。これも役に立った。

 

ペース

どんなに体力があっても、スタート直後から「歩く / 走る」の切り分けはシビアにするべき。後半にあると走れない傾斜であれば、序盤でも徹底して歩くべき。特に、50マイルまでは順位を気にせず、自分のタイムテーブルを基準にペース管理するべき。ラスト30マイルはレースになる。それは対自分か、相対的な順位かは状況次第だが、しっかりとレースをやりきれたという充足感は次への自信になる。ただ、適切なペースを保つのは実際難しい。客観的に疲労度を確認できる方法を探したい。

 

 

タイムテーブル

去年のリザルトから区間ごとのタイムを拾った。眺めていると、相対的に時間がかかるセクション、前半の疲労が表れて、ふるいにかけられる区間があることがわかった。これを知っているとレース中のモチベーション管理に相当役に立った。それと、レース終盤はトップ選手でも絶対に順位が変動する。たとえ前との差が開いていても、諦めない限り可能性はある。時間がなくてやりきれなかったので、もっと突き詰めたい。

 

 

補給

自分の場合、ジェルに疲れる時間帯はくるとわかった。ジェルは複数のメーカーで、味よりもタクタイルのバリエーションがあった方が摂取しやすい。1個だけを選ぶならマグオンのフレーバーが好きだが、飲み続けると酸が強く感じる。その時、気晴らしにメダリストを摂ると優しく感じる。

炎熱サプリは1時間ペースでもよかったかもしれない。ベスパは摂る場合と、摂らない場合を比較したい。よかったのはユーグレナスパートのダブル注入。サポートが入ればセクションごとに360Kcalを一気注入できるので強い。反動はなかった。

 

 

余談

余談のようで実は大事なのが音楽。この長い旅にどんな曲をセレクトするかで気分はだいぶ違ってくる。2014年にでたときはレースのためにiPod Shuffleを買って、好きな曲を詰め込んだ。たしかVooDoo多め。中だるみする関川あたりはいいリフレッシュになった。でも今回はイヤフォンの使用禁止。つまり音楽聞けない。そこで、今回はスタート直前までShopifyリピートして一曲あたまに叩き込んだ。

この日はメロウに田我流の”センチメンタル・ジャーニー

「仲間はもう死んだとか、止めたとか、塀の中

を何度も口ずさんでペースコントロール

ちなみに2013年のITJは直前に流れた山Pの”ケ・セラ・セラ”が耳からこびりついて離れず、悪夢の50マイルになった。この苦い経験は6年後に教訓として活かされましたとさ。

 

 

3. 今後

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レーニン

マフェトンをブラッシュアップしたい。脂質代謝を作る意味では146bpmを遵守することは大切だけど、オフ期はスピードを上げる工夫もしたい。MAFだけだと成長曲線が緩やかだし、一部の筋肉のみ使うので、他の部位にも刺激を注入したい。

今後も通勤ランがベースになるので、MAFペースで週3回走るのが目標。週末にトラックでインターバルを取り入れて、LT値の底上げをしていきたい。目的は出力の底上げと、林道の登りを意識した身体づくり。当面はロードを継続する。トレイルはちょっとお休み。

 

目標設定

トレイルレースの具体的な目標はまだない。2020のUTMF、信越五岳も検討はしているけど、来年は回避するのもひとつだと思う。

今回のトレーニングでロードの苦手意識が克服できたので、ストロングポイントと言えるまで磨きたい。数字の目標を立てるなら勝田マラソンで2:50でしょうか。久しぶりにハーフマラソンもいいかもしれない。

大会にでて現在地を確認するのも手ではあるが、一番やりたいのは月例で5000mのTT。日常の中で、生活習慣を高めていけるようになりたい。

 

食事

これが一番むずかしい。正直、レース後に朝食がある生活に戻したらやめられない。やめる必要がない。それはいいとして、間食が止められない。当分は流れに身を任せようかな。FAP(Fasting)は一旦お休みしてご飯は3食食べます。ウルトラレース入れる場合は3ヶ月前からFAP再開。

 

という感じです。思いついたことは随時書き加えようと思います。