実践しています。

up and ups just fine

ケモノになりたい。

もし、これまで出場したレースの中で一番記憶に残るものを選ぶなら、間違いなく2015年の信越五岳110kmだ。アップダウンの激しい山岳系のコースプロファイルが好きな自分にとって、正直信越五岳に出場するなんて考えてもみなかった。だって走り続けられるから。苦手なんだよなぁ、そういうコース。

 

きっかけがあって出場を決めたものの思うように練習もできず、しかもウルトラは2回目ということもあり、どこまで走れるか不安だった。唯一の希望はこのレースの特徴であるペーサーが僕にはいること。Super Trail Sessionっていう同じコミュニティーの仲間で、頼れるアニキのチヒロさんが65km地点の乙見湖で待っててくれているから、そこまでたどり着けば後は気合でなんとかなると思ってた。

合流地点についた時はだいたい30位くらいだったかな、たしか。あまり順位は気にせず、極力体力を残して走った覚えがある。だけど実際は合流地点手前の笹ヶ峰で結構つかれだんだよな。50%の余力を残して到着する想定が、すでに7割くらいの消耗。合流してからは、終始チヒロさんにひっぱってもらいながら、なんとか動き続けているうちに、ひとりふたりと抜いてくことができた。でも実際はもうボロボロ。

戸隠神社周辺の、永遠に続くんじゃないかってくらい長く感じたロード区間で何度も足が止まりかけた。フラットは無理して走って、少しでも登りになれば歩いて回復する。そんなテンポだった。いわゆる、ラスボスの瑪瑙山は気持ちよく登れたけど、下りの足が残ってない。着地するたびに膝が痛かった。そして、チヒロさんは下りをかっ飛ばすから、だんだん遠くなっていく。日も落ちて、ヘッドライトを照らす。なんとか最後のエイドにたどり着いた。

あと8km、ひたすら林道をすすめばゴールが待ってる。ここからが最高におもしろかった。もう身体はボロボロで、声をたてて深い息をしながらとにかく進んだ。もう呼吸器も力尽きてるし、足も終わってる。だけど、頭は覚醒してて、絶対に足を止めないと自分に誓って進み続ける。体感的にはキロ4くらいで走ってる。ケモノになったみたいな気分だった。ゴール前のラスト数キロかな、そこで一人抜いた。限界を越えてることが気づかれないように、その瞬間だけは息を殺して。

後は下ればゴールだ。木々の向こう側が明るくなり始めた。ゴールだ、やっとゴールだ。チヒロさんと抱き合って喜んだ。ゴールにはDogsorCaravan.comの岩佐さんがいて、写真を撮ってくれた。


記録は13時間05分51秒で、総合19位。DogsorCaravan.comで速報されるというおまけ付きだった。

 

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あのラスト8kmの林道の体感を今でもはっきり覚えてる。自分の呼吸の深さだったり、暗闇の中を走ってるスピード感、砂利が跳ね上がる音。セッションって言うにはあまりにストイックだけど、チヒロさんと一緒に走ってる一体感。最高に苦しくて、最高に気持ちよかった。

またあの感覚にタッチしたいし、あの日の自分を越えたい。まだやれるって自分自身にみせつけたい。そのためにしっかりとトレーニングして、準備万端でスタートラインに立ちたい。そんなことを考えてると、日々のトレーニングが楽しくて仕方ない。それが今年の信越にエントリーするエモめな理由。

まずはしっかりとエントリーができること。
最初の勝負は5/19のクリック合戦です。